遺言書があれば、基本遺言書の内容通りに相続手続は行われていくことになるでしょう。
ただ、遺言書があれば、遺産分割協議をやらなくて済むという点で大幅なメリットがある一方、遺言の内容通りであるとしたら、逆に問題がある場合もあったりします。
その一つが相続税額に与える影響です。
(1)配偶者控除の特例
配偶者については法定相続分までの相続か又は1億6000万円までの相続であれば、税額が無税となる特例が設けられております。
仮に遺言書の内容が、配偶者には一切財産を渡さないとしてある場合には、配偶者控除の特例も一切使えなくなってしまいます。
(2)小規模宅地の特例
被相続人(亡くなった方)が住んでいた土地について、配偶者か又は被相続人と同居していた相続人が相続人が相続した場合には、地積330uまでの分について、80%の評価減をしてもらえる特例があります。これを小規模宅地の特例といいます。評価減が得られると、減った評価額に応じて、相続税額も少なく済むことになります。
仮に、配偶者でも、同居していた相続人でもない相続人に対して、被相続人が住んでいた土地を相続させる旨の遺言がある場合、原則、この特例が使えなくなってしまいます。
よって、仮に相続税額も考えて遺言書を書くのであれば、(1)も(2)も把握した上で、計算するとよいでしょう。
名古屋・半田の吉岡相続オフィス 吉岡生馬
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名古屋・半田の吉岡相続オフィスは、本当にお客様視点での仕事を柱に業務を行っている事務所です。
主な業務範囲:名古屋・知多・西三河(名古屋・東海・大府・知多・東浦・阿久比・半田・常滑・武豊・美浜・南知多・刈谷・高浜・碧南・西尾・岡崎・安城・知立・豊田)
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おじいさんの死後、相続人たちの間で遺産をめぐっての争い、という話はドラマや小説の中だけの話ではなく、現実に起きてしまう話です。
自分の死後は、勝手にするがいい、というなら、特段遺言など必要ないかもしれませんが。。
考えは人それぞれです。
(1)自分の思いを伝えたい
自分の死後、遺産をどうしたいのかとか、相続人に無用な煩わしさや、争いの種となるものを撒きたくない、という思いがある人は、遺言書を作っておいた方が絶対にいいです。思いは形にしないと法律的には伝わりません。
日本人であるため、言わないでも分かってくれているはず、という思いはあっても、法律的には相続人の権利の割合が定められていますので、法律を主張されれば、それまでです。
遺言書がなければ、民法で定められている、法定相続分によって、相続することが原則となります。
よく知られている例示でいえば、妻(配偶者)と子供3人のような場合、各相続分は、妻が全体の2分の1、子供たちは残りの2分の1を3人で3等分することになります。つまり子供たちの相続分は、全体から見れば6分の1づつとなります。
もう一つ例を載せると、先ほどの例の妻が亡くなった場合、次の相続では子供たち3人だけになります。その場合の相続分はそれぞれ3分の1ずつになります。
この法定相続分と異なる内容で相続させたい、そもそも、誰に何を相続させるか決めておきたいのであれば遺言書しか手はありません。
さらには、相続人以外の人、例えば世話になった長男の嫁や、友人、知人にも何かをあげたいというのであれば、これも遺言書でしか行えません。
(2)相続人たちの作業をらくにさせてあげたい
相続が始まった後、相続人たちで、相続財産として何があったのかを調べることになります。しかし、自分のものでも財産を全て把握するのは難しいのに、親の財産となると、さらに難しくなってしまいます。
あらかじめ、遺言書を作ってくれていれば、相続財産の全体像を把握しやすいことになります。
(3)相続人間での無用な争いを起こしたくない
遺言書がなければ、相続人同士で、遺産分割協議を行うことになります。例えばまだ奥さん(配偶者)が存命であれば、子供たちも母の言うことを聞く可能性はあるかもしれませんが、奥さんが先に亡くなっているような場合は、子供たちだけで遺産分割協議を行うことになります。そうなると、話はまとまらないかもしれません。誰か一人が法定相続分を主張すれば、先祖代々の家土地も離散することになる可能性が高くなります。
遺言書があれば、このような協議は必要ではなく、遺言書の内容通り、相続が行われていくことになります。
以上のように遺言書でなければできないこと、遺言書だからできることということがあります。勿論遺言書自体にも注意点はありますが、あった方が望ましいものです。一度作成を検討してみることをおすすめします。
名古屋・半田の吉岡相続オフィス 吉岡生馬
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「贈与」というと、相続税対策で一番に挙げられるもので、王道と言える相続対策です。
世の中には、節税をうたった様々なものがありますが、本末転倒な結果になるものも多々あります。
しかし、この点、相続対策の王道と言える「贈与」であっても、本末転倒なのではないか、といった結果になることもあります。よって贈与についても気を付けて行わないといけません。
(1)一家としての財産が消滅
例えば、相続税を少なくしたい、という理由から、お金を子供たちにあげ続ける(贈与する)といったことが相続対策として考えられます。贈与をしても年110万円までは税金がかからないから、110万円づつお金をあげ続けるといったことをしてる方も多いのではないかと思われます。
このお金を贈与することによる相続税対策にはどれほどの効果があるのでしょうか。
仮に、子供が3人いて、一人に1年あたり110万円あげれば、1年で330万円。10年で3,300万円の相続財産を減らすことができます。
さらに早めに対策し始めれば、20年×330万円=6,600万円の贈与も贈与税を払うことなく行うことが可能でしょう。
6,600万円も相続財産を減らすことができれば、相続税もある程度下がるものと考えられます(下がる税額は、財産の状況や相続人の人数等の影響を受けます)。
しかし、毎年親から大金をもらえたら、子供たちはどうなるでしょうか。目の前に、臨時収入と言える大金が入ってきたら、どうするでしょうか。金銭感覚のしっかりした、責任感のある子ならもしかしたらしっかり貯蓄して将来のために使ってくれるかもしれませんが、降って湧いたお金は使ってしまう可能性が高いものです。
仮にもらったお金を使ってしまった場合には、贈与をしたことによって、結果として、一家からの財産の流出を招き、相続後の先祖伝来の家土地の維持のためにと思っていたのに、そのお金がなくなり、維持するのに支障をきたす、又は、維持できなくなって先祖伝来の家土地を売り払わないといけなくなるかもしれません。
こうなってしまっては、一家としての財産を守りたかったための相続対策としては、本末転倒な結果と言えるでしょう。
(2)金銭感覚のマヒ
上記例示の通り、お金を親からもらって、そのお金を使った、というなら親の財産を使い尽くすという点で済むかもしれませんが、もしかすると、無駄にお金を使う癖がついて、金銭感覚をマヒさせてしまうかもしれません。
消費水準があがってしまい、自分で働いて得たお金まで使い果たしてしまうかもしれません。
本来、お金は額に汗して稼ぐもの。お金をあげる(贈与する)のは、もう大人となっているはずの子供たちではあると思いますが、教育上どうなのだろうかと、個人的には思ってしまいます。
(3)老後資金の枯渇
上記例示の通り、お金を子供にあげれば、自分たちの財産が毎年目減りしていくことになります。
相続税を恐れて、贈与を行った結果、老後資金も減って、余裕のある老後を過ごせなくなる。それどころか子供たちから金銭的な援助をしてもらわないと生きていけなくなってしまうかもしれません。
仮にこのような状況に至るようなことがあるのであれば、その相続税対策としての贈与はよかったのでしょうか。
以上のように、今回はお金をあげることを例として、贈与については数々の問題が潜んでいることを説明させて頂きました。
名古屋・半田の吉岡相続オフィス 吉岡生馬
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